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> 妊娠系アイドル小梅 |
その日は、アイドル歌手『小梅(KOUME)』のニューシングル発売のキャンペーン中で、地元の本屋に用意された特設ステージには大勢のファンがつめか けていた。小梅は集まったファン一人一人にCDを手渡しし、最後に新曲「Bo-NYU」を振り付きで披露した。 -------------------------------------------------------------------------
小梅は現在23歳で、デビュー3年目。デビューシングル『Ninshin:Sen』はコアなファンを獲得し、予想外の売れ行きを記録した。彼女のスタイ
ルは、他に類を見ない「妊娠」がテーマになっている。彼女自身の妊娠期間中しか活動しない徹底ぶりで、ファンの前に立つのは、必ずお腹の膨らみが目立つよ
うになる妊娠後期である。妊婦特有の体調の変化にも臆することなく積極的に活動し、とくに圧巻なのは「臨月コンサート」である。過去二回行われているが、
去年のコンサートでは、ステージの最中に激しい陣痛に見舞われ、さらには破水までしたが、最後まで笑顔で歌い通した。そんなプロ根性を見せる彼女も、現在に至るまで多くの苦労を重ねてきた。歌手を目指して15歳でプロダクションに入るが、2年間デビューが決まらず。翌 年、三人組アイドルとしてデビューするも、グループが半年で解散、しかたなくソロ活動へ戻る。しかしデビュー曲がまったく売れず、1年後には所属プロダク ションが倒産してしまった。 失意の彼女を救ったのが現在のプロダクションで、彼女の再デビューを積極的に押し出してくれた。そこで出た企画が「妊娠系アイドル」であった。彼女はこ の企画を快く承諾し、精子バンクを利用して妊娠した。芸名は『小梅』と、彼女自ら名づけた。衣装について、マタニティー風なものからスタイリッシュなもの まで様々な案が出たが、膨らんだお腹や張ったおっぱい、黒ずんだ乳首を見せたいという彼女の強い希望で、ほぼ裸の衣装が採用された。 その後の妊娠系アイドル小梅の活動は精力的であった。プロモーションのためならテレビ、ラジオ、ミニコンサート、イベント等々どこにでも出演した。 妊娠系というもの珍しさと、彼女の一生懸命さが受けたのか、テレビなどバラエティー系の企画も持ち込まれるようになった。とある番組の企画では、気温0 度の雪山を何キロも走らされたこともあったが、寒さと疲れで全身をガタガタと震わせ、失禁をくり返しながらも走りぬき、最後は笑顔でゴールする根性を見せ た。 ![]() 番組のちょっとしたコーナーに登場し、首からさげた看板で『精子募集のお知らせ』をしてまわったこともあった。新作CDを買ってくれたファンから精液を 募集して、抽選で当たった一名の精子を使って妊娠するというキャンペーンで、CDには精液採取用の試験管と保存のためのボックスが付いていた。当選者の名 前は非公開だったが、CDの売り上げは飛躍的に伸びた。 彼女のもとには、CM出演のオファーも頻繁に来るようになっていた。しかし、その内容は珍妙なものばかりで、とてもアイドルのイメージではなかった。な かでも牛のかぶりものを被せられおっぱいを揉むという、顔さえ見せない仕事も来た。だが、何時間も立ちっぱなしでおっぱいを揉み続け、母乳をまき散らす仕 事を、彼女はいやな顔一つせずやり遂げた。 -------------------------------------------------------------------------
新曲を熱唱し終えた小梅は、ファンに深々と頭を下げて感謝すると、次の会場に向かうため、笑顔をふりまきながら足早に去っていった。 |
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